花文様、蕾文様、葉文様
相互の結合法
平面装飾でいかに用いられていたか
ミケネ様式
ギリシア美術における植物文様
ギリシア装飾法の最も美しく、最も意味深い成果はリズミカルに動く植物性唐草模様
ギリシア最古の遺物には植物文様を全く欠いている・・ヒッサーリックやキプロス遺跡・・純幾何学的装飾を持った土器・・・
「美術様式論」P138
唐草文様の発生
ギリシアで明確な植物文様を生んだ最古の美術
ミケネ(ミケーネ)美術の担い手・・諸説
異質的なもの
極盛期は前一千数百年頃
ヴァヒオ黄金杯のような精巧な技術と芸術的な特性を持った遺品
グッドイーヤはミケネ美術について、それのエジプト起源説を、少しの躊躇もなく主張する
ミルヒヘーフェルMilchhöfelの説くような、ヨーロッパ独自の日オリエント的契機をミケネ美術の本質と認めようとする考えは、歓迎されていない
烏賊(イカ)文様のほかにも、ミケネ人の独創に帰することのできる装飾文様がある。
その中に、植物文様の明確な形式も存在している
ミケネ美術は、植物文様をきわめて豊富に用いた。
「美術様式論」P139-140
p139
ギリシアの土地で、明確な植物文様を生んだ最古の美術はいわゆるミケネ美術である
ミケネ美術の担い手については諸説が区々であるから、確乎とした民族学的出発点を根底に置くことは避ける
ミケネ美術の特性について
全面的に解明することは、一度もなされなかった。その理由は多くの異質的な解き難いものに出くわすから。
この異質的なものを、たんにオリエント起源の方によって配列することはできない。
ミケネ美術の極盛期は、前一千数百年頃・・
ヴァヒオ黄金杯のような精巧な技術と芸術的な特性を持った遺品は、それと一致させることが難しい
グッドイ―ヤ・・ミケネ美術のエジプト起源説
烏賊文様だけがエジプトに収まらない独自の意味を持つもの、とした。(この文様も高く評価していない)
ミケーネ美術は、植物文様をきわめて豊富に用いた。最も主なる花文様・・原型の直接的模写は見受けられないが、エジプトとの交流関係は明らか
それを明らかする例は図45
第45図 ミケネ式飲器首部
原型として、第16図・19図のエジプト式ロータス・パルメットを認める・・と「美術様式論」P141
最も主なる花文様については、グッドイーヤの考えを承認せざるを得ない
エジプト原型の直接模写は見受けられないが、交流関係は明らか。
その例は、渦巻型萼(第45図)・・グッドイーヤが説く以前にフルトヴェングレルが認めている
「美術様式論」P140
第45図の上部の扇形・・上向きの半円形で花形をくくっている・・
×フルトヴェングレルによれば独立した花系・・
◎エジプト式ロータスパルメットの部分
エジプト式構成・・萼と萼との上下の挿しこみ、最頂部に花をつけた上巻き下巻き額の交互つみかさね
「美術様式論」P141
ミケネを出発点とするというが、クレタはどうなったのでしょうか?
いや、やはりこの書が出たとき(1893年)まだクノッソス宮殿が発掘されていなかった・・(1900年発掘)
ここは注意深く読まねばなりません・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/ミノア文明
The National Archaeological Museum of Athens
Golden decoration from Mycenae
※http://hp1.cyberstation.ne.jp/legend-ej/p-civil1987gremyce-athe.html
アテネ国立考古学博物館の金製の王冠や金製・「ヴァフィオ型カップVaphio Cup」が見られるサイト
(Photo by http://travel.webshots.com/)
The Prince of the Lilies;
黄金の王冠(ダイアデム)
簡単形地間充填を持った渦巻型萼や
パルメット扇形を乗せた渦巻型萼
金細工・・
多少渦巻型を示した萼片を持つ三角葉ガ写実的な細部の線書きを施して用いられる
葉文様では常春藤の葉が著しい分布
第46図 ミケネ式陶器 (肩部に常春藤葉文様を示す)
※常春藤=ツタ、アイビー
元来は三つ葉であったものがその中央の葉が萼ととけあい、一つのまとまった大きな葉型となった
第47図ミケーネ式陶器文様
ぢ字ぷと美術では長い茎が固くまっすぐに突起するのに対し、ミケーネ美術では柔らかな茎が、多少とも斜めに傾いて、
動きを表している。
第46図にも認められる
「美術様式論」P143
ローゼットでは、その弁を硬い放射線でなく、斜めの方向に(巴型に)ほどこしたのと同じ方向性
第48図ミケーネ第一墳墓出土の骨片
(黄金打出環付着)
この動きが意図されたものであったなら、目的は、型にはまって様式化したエジプト美術を生気あらしめ、動きを与えることであった
自由に動く植物性唐草の第一の創始者
第49図ミケーネ色彩色描陶壺文様(第一墳墓出土の陶器片 )
器軸に平行した二条の植物性の茎
エジプト式手法と根本的に違うのは、茎が柔らかい波上の動きをして上へ上へとくねり進んでいること
(この茎から細い葦草のような葉と渦巻様花形がリズミカルに枝をつけている)
46・47図の曲線と同じ傾向
線描における主動的な自由性、芸術的効果
エジプト人が幾何学手形成(渦線)にのみ用いた曲線は、ミケネ美術家によって植物文様に移された ミケネ美術での以上の傾向性が標準的かつ本質的だということの証し
フリーズ帯において植物文様が曲線によって結ばれるための唯一の可能な、しかも真に芸術的な結合法を発見した
第50図 彩描
連続波上唐草を示した陶器片(テラ発見、ミケーネ式)
波上の上下振幅の中間で、波上の方向と逆の方向(広報)へ弱く巻いた唐草線が分かれている。
このう分岐線にはひとつの花も蕾もつけていない。
第46図では同じ唐草が一本の枝についていてそこに常春藤がつけられている
ミケネの枝分かれ文様の特殊な性質(第46図)
この後の51図(ミケネ式コップ:メガラ発見)への言及が本文のどこにもみあたらない?
p147
ミケネ美術家に至って初めて、連続波状唐草が、一方では簡単な円弧フリーズの「片側並び」を破り、他方では二重の、順と逆の円弧フリーズの硬さを破った・・・
モチーフは連続唐草の結合線の上下に並べられた
これに対して、今日まで、植物性の円弧フリーズの例がミケネ美術に発見せられていないことは注目される
ここで
52図からこちら
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