教会の怪物たち( ロマネスクの図像学)
4章の「四大」から
尾形希和子著
/目次読書/
「海(オケアノス)」も「時(アンヌス)」もワイルドマンの姿で
「大地」の乳を吸うケンタウロス
ケンタウロスの獣性
流動的に伝染し、混同されていくイメージ
p197の3つの図の出典は Medieval Drawings – by M.W. Evans 1969とのこと
図4-11「大地と水の創造」『ヘクサメロン』ミュンヘン
バイエルン州立図書館(Bayerische Staatsbibliothek)hexameron(biblical) The work of creating the world in six days, as described in the Hebrew Bible.
バイエルン州立図書館(Bayerische Staatsbibliothek)
https://en.wikipedia.org/wiki/Genesis_creation_narrative
Genesis 1:21English Standard Version (ESV)
21 So God created the great sea creatures and every living creature that moves, with which the waters swarm, according to their kinds, and every winged bird according to its kind. And God saw that it was good.
古代の哲学(ターレス、エンぺドクレース)からの借用
「それは人間という小宇宙の中で特定の身体部位や感覚に関連してある役割を演じるが、しかし大宇宙においてもまた同様である」
中世には、
火は炎の舌によって、
気は風の支配者アイオロス神、あるいは四方向の風を表す頭部によって、
地はしばしばキリストの十字架の下に見出されるような、二人の子どもに乳を含ませる女性※として、
水は海神オーケアノスに体現されて(川)あらわされる
その後ルネサンスにおいては
古代の神々によって擬人化されるように変化し
火はウルカ―ヌス
気はユノ―
地はキュベレー
水はネプトゥーヌ
によって表される
ときには四大の中のそれぞれに棲む動物の象徴表現の中に取り入れられる
気:鳥
水:魚
地:四足獣(象など)
火:サラマンダ―
舗床モザイク:アオスタ(Aosta)の大聖堂、12世紀
フレスコ:アナンニ (Anagni)の大聖堂、クリュプタ 12世紀
柱頭:ヴェズレー( Vézelay)、およびクリュニーCluny(仏蘭西) 12世紀
復活祭用燭台:ミラノの大聖堂(Duomo di Milano) 12世紀
※下へwikimedia
フレスコ:ザンクト・ニコラウス教会、ヴインディッシュ=マトライ(チロル)13世紀
⇒オーストリア
こちらの方の写真https://4travel.jp/photo?trvlgphoto=13008457
(壁の端の人の姿で右は火、左は地)
下図参照
『西洋シンボル事典』(P146)
図4-12 「暦の中心に座すワイルドマンの姿のアンヌス」『ツヴィファルテンの小年代記』Chronicle シュトゥットガルト王立図書館 Stadtbücherei Stuttgart蔵、MS Hist ,fol1415 ,1162-1169)
ツヴィーファルテン/ツヴィーファルテン(Zwiefalten)annus
https://www.bildindex.de/でみたがわからない.Zwiefalten's Chronicle(12世紀)
「黄道十二宮」に代表される世俗の時間は、12世紀、キリスト教の時間の中に取り込まれつつあるとはいえ、まだ異教的なものと捉えられていたで、ワイルドマンという異教的存在によって支配されている。
しかし次第にキリストの姿と交換可能な像になっていく(p167)
図4-13 「四大」cod,12600 fol.30.『星の配置と場所 De ordine ac.positiones stellarum』ウィーン国立図書館蔵、1210~1220年
→ケンタウロス「土(TERRA)」を表す記号として、ケンタウロスが描かれている
「大気(AER)」の擬人像 風を吹き出す革袋を持ち、鷲に載っている
「火(IGNIS)」の擬人像 ライオンを伴う
「水(AQUA)」の擬人像 グリフォンとともに描かれる
『西洋シンボル事典-キリスト教美術の記号とイメージー』(八坂書房2003) 数のイメージ4
神の象徴である3とは反対に、昔から地上の世界を示す数とされていた。
4が示すものは、
"DSC03019 - Duomo di Milano - La Menorah Trivulzio - Foto di Giovanni Dall'Orto - 29-1-2007". Con licenza Attribution tramite Wikimedia Commons.
上は『西洋シンボル事典』で「四大」の項に挙げられた、「復活祭用燭台:ミラノの大聖堂」というものだが、これは、よくみると、尾形さんのp184-185で取り上げられるものである。
しかしその図5-15とちがって、このsocoldピープルドスクロールは、メダイヨンののように見える。左下のは「救いを求めて光の方向へよじ登っている」という表現ももっともかとは思いつつ、そこまでいうには、この面のここでは手の形が違うようにみえる・・・・
しかし、まずはこのグリフォンの脚であるが・・
それにしてもこんなページを発見した(~_~;)https://discardingimages.tumblr.com/‥ウム
『教会の怪物たち』を読むページその5へ