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蓮華文

蓮や睡蓮の花を象った装飾文様

me蓮や睡蓮の花を象った装飾文様であるが、今まではエジプトを源流とするロータス文様を見てきた。ここではまず、仏教美術から「蓮華文」を見ます。「新潮世界美術辞典」参照。

スイレンはエジプトで早くから文様として扱われた。(→ロータス)
インドでは蓮、睡蓮ともに見られ、とくに蓮はインド、中国、日本では仏教文化の一つの象徴的な文様として仏像の持物(じもつ)、台座(→蓮華座)、光背、天蓋、仏具、寺院建築の瓦(瓦当、軒丸瓦)などの装飾に用いられた。
インドの蓮華文は中国で壮麗化し、あるいは忍冬文と融合されて日本にも伝わり、優麗な蓮唐草(→唐草文)や蓮池文が作られ仏具や経巻、経箱の類に飾られた。
あるいは蓮は花の中の君子とし、また花と実が同時にでき、多数の実があることから吉祥を表すとして、中国では元・明時代の陶磁器などに蓮池に水禽の文様がよく描かれている。
日本では平安時代の料紙の雲母摺(きらずり)、鎌倉-室町時代の錦や、室町-桃山時代の辻が花染めに見られるように、仏教関係以外のものにも扱われ、陶磁器などにも施されている。

me 蓮の花の上に立つ・座るについて「蓮華座」を見ましたがは、蓮花の王冠を頭に載せるとあるバイヨンの四面像(1200年頃)について、 「蓮は水の象徴、聖なる場所を演出する植物、神話の図像表現にかかすことのできないモティーフ」であるという。

蓮華蔓草

開蓮華文様

開敷蓮華(かいふれんげ)

満瓶(まんびょう)

如意蔓(カルパラター)

  ~~続く~~

イメージ・シンボルを読む

meここで、イメージ・シンボル事典の方のチェック。

図説世界シンボル事典(ハンス・ビーダーマン)

スイレンあるいは蓮・・・ヨーロッパでは同じ名前で呼ばれる。
ヨーロッパにおけるバラやユリのような重要な役割を地中海南東部沿岸地帯やアジアにおいて担っている。


古代エジプトには睡蓮の花の登場する創世神話があり、原初の泥土の中から スイレンが生まれ、その萼から世界を創造する神の子が『美しい少年の姿で』現れた


睡蓮の花は日の出と共に開き日没とともに閉じる・・泥土から光が生まれた原初の神話的瞬間を象徴するものとされた
テーベの墓の壁画には、葬られた死者が芦船に乗ってスイレンの咲く池を漂う光景がしばしば描かれている。

※テーベの墓の壁画

甘い香りのする青スイレンは白スイレンよりさらに重んじられ、メンフィス3神のうち、「芳香の主」の別名を持つネフェルテムのアトリビュートであった。
この花のエジプト名nen-nuferは、「麗しき女性」の意味


仏教圏では蓮はさらに重要な意味を持つ
釈迦はハスの目、ハスの足、ハスの太腿をもつとされた。 観世音菩薩のもつ紅蓮の花は輪廻から涅槃へ至る悟りを表す重要な象徴


チベットの密教、ヨーガでは、気の流れが上昇し最高の霊的認識に達することを、その人の頭頂で蓮が開花するイメージでとらえる
祈祷文「Omオーム(神を呼び出す呪文) +mani padmeマニ・パドメー(蓮の中の宝物をさがす) +humフーム(終わりの呪文)」


中国でも向上心のシンボル、高貴さや希少性のシンボル
「蓮」の字は、「連(繋げる意)」「廉(清廉の意)」と同音なので これを活かした吉祥図案が見られる

イメージ・シンボル事典(フリース)

この名の植物は、いろいろあるが最も有名なのは
a. Zuzyphus lotusジジフス・ロトス パンと発酵酒の原料となる低木。
b. Nymphaea lotusエジプトのハス、ナイルの増水の象徴
c.Nelumbium nelumbo インドの「聖なるハス」


アッシリア人はハスを様式化した花模様を装飾に用いたが、これはフェニキアの石碑(イオニア式柱となった)にも見られ、この文様は20世紀にまで使われている。


1本のハスに、さや、開いた葉、つぼみが同時に見られるので、存在の3つの段階、すなわち過去、現在、未来を表す


存在の中心、太陽;ヒンズー教
エジプト:ホルス(太陽)は太古の海の懐に葉を広げているハスからの昇る、再生ー創造を表すオシリスの持物
チベット: 復活、不死、進化2
Om mani padme fum(ハスの中の宝石、有難や) は死ぬ前にとなえるべき最後の文句
ギリシア・ローマ・初期キリスト教徒には葬式の花であった


ハスは「光(生命)の花」 Fleur de Lyth(=イチハツ)であり、三位一体とキリストを表す。またハスはユリの変種百合である。


イシスの持ち物で、聖母マリアの持ち物である百合と対応する

唐草 イメージ・シンボル

(以下続く)

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