尾形希和子著(沖縄芸術大学)
2013年12月刊 (講談社選書メチエ)
/目次読書2014-08-17/
第一章 怪物的図像とイコノロジー的アプローチ
第二章 神の創造の多様性としての怪物・聖なる怪物
第三章 怪物的民族と地図
第四章 「自然の力」の具現化としての怪物
第五章 世俗世界を表す蔓草
第六章 悪徳の寓意としての怪物から辟邪としての怪物へ
第七章 古代のモティーフの継承と変容、諸教混淆
第八章 怪物のメーキング
結び 怪物的中世
第一章 の研究の方法、図像へのアプローチの仕方に続いて、怒涛の勢いの「怪物」たちを丁寧読みし、第5章からはまとめに入り、落ち着いて読めます
悪徳の寓意としての怪物について概観する。これは怪物図像の常套的解釈である。その図像が、悪魔払いや、笑いを誘うことで邪悪なものを退ける辟邪(へきじゃ)として機能する場合について述べる。
忌避されるべきものとして
カインにつけられた「しるし」
怪物の形体を取るのは11世紀から
不吉なものとしての「黒」
身体は人間の本性を映す鏡
「肉欲」の罪へ導く誘惑者
「吝嗇」「淫蕩」━断罪されるべき悪徳
フレスコ画に描かれた海の怪物たちの熾烈な争い
「現世」のメタファーとしての海
ハイブリッド以上に危険なもの
狼人間ルネサンス
奇蹟譚に先立つピープルド・スクロール
洗礼盤のセイレーン
邪を退ける音の力
悪夢を図像化し言語化する
「名付けることによるヘゲモニー」
笑いを誘うガーゴイル
神秘や恐ろしさの減少
ロマネスク聖堂内の笑い
笑いと辟邪━陰部を見せる女性像
未分化で両義的━スコラ哲学以前の認識法