唐草図鑑


杖(2)


戴冠式の杖


The Coronation of Her Majesty Queen ElizabethⅡ 2 June 1953

イギリスの戴冠式の杖

Coronation of the British monarch = 戴冠式
・・現在イギリスだけで行われている王位就任を宣示する儀式@ウエストミンスター寺院
旧約聖書までさかのぼる儀式
大主教の手を経て王に授与される重要な王器(儀式用杖)

王笏(Septre)は2本

十字架笏(The Septre with the Cross)
・・・約90センチ、ねじれ模様の金の棒、両端は琺瑯、宝石がちりばめられている

鳩笏(The Septre with the Dove)
・・・約108センチ、金の棒、琺瑯製の白い鳩と、530カラットのダイヤ「アフリカの星」その上にイチハツ(アイリス)の台座十字架を冠した王珠


「王の力と正義の印である王笏をお受けください」 ・・・十字架笏を王の右手に握らせる


「公正と慈悲の笏をお受けください」 ・・・王の左手に鳩笏を握らせる


大主教の祈り・・
「すべての聖なる願い、すべての良き勧め、すべての正しきわざの源泉である神が、あなたが神のお与えくださったすべての権限を行使するときに、あなたを導きお助けくださいますように」
そして
{義務を怠らぬほどに慈悲深く、慈悲を忘れぬほどに厳しく、正義を行われますように、不正なるものを罰し、正しき者を守り励まし、国民に進むべき道を示し、彼らを導かれますように」。
(蒲生俊仁「イギリスの戴冠式―象徴の万華鏡 (1979年) (神道文化叢書〈8〉) 」)


http://www.londononline.co.uk/monarchy/Sceptre_with_the_Dove/
http://en.wikipedia.org/wiki/Sceptre_with_the_Dove
The Sceptre with the Dove, and the other Crown Jewels, may be found on display at Jewel House in the Tower of London.(ロンドン塔で見ることができる)

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戴冠式の衣装の植物

ここで、矢野憲一さんの「杖」の本をちょっと離れて、唐草図鑑的に。
*ドレスの模様の植物
右の肖像写真の裾模様を拡大しました

アザミ(シスル)です。
ほかにたくさんのエンブレムが刺繍されたようだが見えない。
http://www.fashion-era.com/coronation_dress.htm
For England there was a Tudor Rose, イングランドにあるチューダーローズ
The Wales the Welsh Leek, ウェールズはウェールズの長ねぎ
For Scotland the Thistle, スコットランドについては 、 シスル
The Irish emblem, the Shamrock, アイルランドの象徴シャムロック
For Canada, the Maple Leaf, カナダについては、もみじ
The Australian Wattle flower, オーストラリアヒタキ科の花
The Fern of New Zealand ,ニュージーランドの シダ
The South African Protea 南アフリカのプロテア
The Lotus flower of India インドの蓮の花
Pakistan's three emblems are Wheat, Cotton and Jute. パキスタンのエンブレム小麦、綿やジュート

WEB検索
http://movie-sakura.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_a319.html
以下引用===
戴冠式にあたり、女王のたっての希望で、輝石をあしらった聖エドワード王冠が女性用に作り直された。そして当日のドレスは、イギリス王室のモチーフが描かれた、特別なものが用意された。専属デザイナーは、そのドレスのために、王室の正式な紋様である"リーキ"よりも華やかな"ラッパスイセン"を描きたかったとか(*?)で、議論さえなされたらしい。
===
*?・・・この辺りなんの話か検証必要
デザイナーはノーマン・ハートネル:Norman Hartnell
■イギリスのhttp://www.fashion-era.com/coronation_dress.htm
によれば、
Hartnell also checked them with the Garter King of Anno and was horrified to discover that the emblem for Wales was not a daffodil, but a dull vegetable, the leek. The Garter flatly refused to allow the use of the daffodil. Hartnell finally 'borrowed' the leek on the cap of the Welsh Guards and his embroideresses interpreted it into an attractive motif using fine silks and diamante. The leek became a source of inspiration and most of the other emblems were interpreted in the same way. With the completed emblem samples, Hartnell travelled to Sandringham where he showed the Queen his ninth design.
ハートネルは ウェールズの紋章がスイセンではなく、退屈な野菜、リーキだということを知って驚いたが、最後にウェールズの防衛隊のキャップがインスピレーションの源となった。 

国花(Wikipedia)
国花はそれぞれの地域が持っている。
イングランドはバラ
ウェールズはラッパズイセン(スイセンの1種)。
リーキもより歴史のあるシンボルだが、リーキは花ではない。

北アイルランドはシャムロック(Wikipedia
スコットランドはアザミ(Wikipedia・・・触れれば痛い草の代表である。スコットランドでは、そのトゲによって外敵から国土を守ったとされ、国花となっている。)


ウェールズとリーキ(Wikipedia)
===
リーキは、ラッパスイセンとともに、ウェールズの国花・国章である。
国花というが、リーキの花ではなく、食用とする茎葉の部分が国花となっている。
===

*リーキ

Cap Badge of the Welsh Guards
The Welsh Guards (WG) (Welsh Gwarchodlu Cymreig) is an infantry regiment of the British Army, part of the Guards Division.

リーキ(国章)

リーキが国章である意味の文献検索
(以下horagaiさんの示唆 要約)
英米文学植物民俗誌 (1976年) 」によれば、

640年にCadwallader王率いるウェールズのブリトン族 が外敵のサクスン族を迎え撃ったとき、ウェールズの 守護聖者St. Davidは敵味方の区別がつくよう、味方 の兵にリーキをつけさせた。 目印のない敵は互いに同士討ちして敗走したという。
という伝説に由来するそうです。

しかし、同書によれ ば、
古代の兵士は戦傷よけのまじないとしてリーキを 身につけており、西暦500年頃にはすでにウェールズの 兵士はリーキを身につけていたらしい、ということです。

ネギやニンニクなどを魔除けとするのは、洋の東西を 問わず広く見られる民俗なので、ウェールズの兵士が リーキを身につけたのもそういう民俗の一環かもしれ ません。


同書によれば、また別の説として、
農事での相互扶助の確認のために、ウェールズ人が互い にリーキを持ち寄って会食したしきたりに由来する。

さらにまた別の説では、
St. Davidは、Monmouthshire の Hatterill Hills の valley Ewias に隠れ住み、ここでリーキだけを食べて すごしながら瞑想のうちに一生を終えたので、この聖者 をしのんでウェールズ人はリーキを身につけるのだという。 などという説もあるそうです。

何にしてもリーキとSt. Davidとの結び付きが強そう ですね。
さらに、シチリアにはリーキと聖ペテロの母親に纏わる 民話があるそうです。

ちなみに、もう一つのウェールズの国花であるラッパ ズイセンとリーキの関係は、ウェールズ語の "Cenhinen"(リーキ)と"Cenhinen Bedr"(ラッパズイセン) が似ているためだとか。 で、"Cenhinen Bedr"というのは「聖ぺテロのリーキ」 の意味だそう(※1)
ネギ属共通の魔除け信仰(※2)といい、聖人との関係と言い、 何にしても、リーキはある意味「聖なる植物」の系譜 につながりそうな感じですね。


「おしまいにもう一つ。 イギリスの1ポンドコインは、1983年から毎年裏面の デザインが変わっているそうです。
で 、1985年と1990年のデザインはリーキだったそうです。 他にもアザミ(1984,1989)、オーク(1987,1992)、アマ(1986,1991)などがあって面白いです。
この種のデザインは、たいてい花かせいぜい葉までしか描か れないのが普通ですが、草本については根までしっかり 描かれているのが興味深いですね。 さすが園芸大国イギリスというべきか…」
(by horagaiさん

リーキ
Saint_David's_Dayを検索
http://en.wikipedia.org/wiki/Saint_David's_Day
※「ウェールズ語、Cenin(にら)、 およびCenin Bedr(水仙、文字通り「ピーターのにら」):同様の名前を持っている」
ありがたみが薄れるかもですが、聖ペトロは「ピーター」であったか。
3月1日がSaint_David's_Dayでカードまで送ったりするんですね
http://www.walesonline.co.uk/e-cards/


リーキ
オニオン ガーリックと同じで 悪霊よけという意味合いが一番先ににくるということであろうか。


エリザベス一世
エリザベス一世戴冠式ドレス、杖 戴冠 1559年1月15日
Elizabeth I in her coronation robes,
patterned with Tudor roses and trimmed with ermine.
(チューダーローズの型と白テンの毛皮の縁取り)
イングランドのチューダーローズだけだったようです、

スコットランドの国章
Royal arms of Scotland
このスコットランドの国章ですが、
ユリなのか剣なのか、草なのか王冠なのか・・・という印象を出しておきます。

帝国宝珠(十字架が上に付いた球体)

王笏の他に持っているものは帝国宝珠
宝珠(ラテン語: globus cruciger、英語: orb、ドイツ語: Reichsapfel)とは、十字架が上に付いた球体のことである。帝国宝珠ともいう。(wikipedia

中世を通して、そして今日でも、キリスト教の権威の象徴として、硬貨、図像学、レガリア(王権の象徴)で使われる。
また、世界(球体)に対するキリスト(十字架)の支配権を象徴する。地上の統治者(時には天使のような天界の存在)が、文字通り手で持つことで、支配権を表す。
キリスト自身が宝珠を持つ場合は、西洋美術の図像学では「世界の救世主」(en:Salvator Mundi))として知られている。王笏と組み合わせて描写されることが多い。

そのほかの検索(エリザベス女王のドレス)
http://www.kingdom-rose.net/Blackwark.html
英国刺繍 16世紀の主流ブラックワークBlackworkの代表的な文様
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2089432/751182
エリザベス女王の「ワードローブ」展示(ニュース)

モードの生活文化史 マックス・フォン・ベーン 河出書房新社
女帝エカテリーナ  アンリ・トロワイヤ 中公文庫


チューダー朝ドレス&ファッションEliizabethan sunplary statutes by Maggie Secara,