ウワス杖

神の権力の杖　蛇よけの杖の名残

photo byM 大英博物館にて（2008）

ウアス杖について

神や王がしばしば手にしている杖、
この杖の頭の部分にはセト神の顔があらわされることがあり、
神権を象徴する道具のひとつであった。　
特徴的なのは、下の部分が二股になっていることで、
これは、古くからある蛇避けの杖の名残と考えられています。
セトの頭のついた杖

プタハ神の笏　アンク、ジェド柱、ウアス杖を組み合わせた形をしている三重杖

象徴事典にある杖

ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」

杖と鞭

ジェド柱:古代エジプトの謎めいたシンボルで、王権を象徴する擬人化されたジェド柱は,冠を戴き、杖と鞭を手にしている、エジプトの護符。　
（ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」　ジェド柱 p187図）

Djed pillarsジェド柱

T字型（タウ十字）の杖

T字型（タウ十字）の杖につるされた鈴は エジプトの荒野の聖人アントニウスの持物（アトリビュート）であり、彼の鈴は誘惑　しようとする悪魔を追い払うのに役立ったとされる
（ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」　鈴）

杖と鍵

門（ラテン語ではjanuaと呼ばれる）神ヤヌスは、同時に家の戸口の守護神にもなり、門番の杖と鍵をそのアトリビュートとしていた。
（ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」　ヤヌス）

緑の葉をつける杖

クリストフォルス（キリストを背負った者）は、緑の葉をつける杖或いは杭（神の恩寵を得て義とされたことの象徴）を手にして、全世界の象徴たる帝国宝珠（リンゴ）を持つ幼子イエスを背負った巨人として描かれた
クリストフォルスの図像の原型は、エジプトの古代後期に見られる犬の頭をしたアヌビス神と幼いホルス神の図像、あるいはエロスを肩に乗せたヘラクレスの図像ではないかと思われる
（ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」　クリストフォルス）

白い杖

「乞食の杖Bettelstab」と呼ばれる白い杖は、頭陀袋と並ぶ乞食のアトリビュート
元来は自分の土地を離れざるを得なくなった放浪者や戦争の捕虜を表すしるしであり、（後世の白旗と同様）、降伏のシンボルでもあった　（ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」　乞食）

ハンス・ビーダーマン「世界シンボル事典」に挙げられていた杖は以上の他に、
ディオニュソスのティルソスであったが、元来オオウイキョウ（ギリシア語narthex,ラテン語(ferula)の茎で作ったとされる、とあったのに驚いたものであった。

バッカスの杖
この茎は、かって学校で、しつけのため「鞭」として使われたこともあったとか、また、
プロメテウスがオリュンポスから火を盗み人間に与えたときにこの茎の中に火種を隠して持ち帰ったとか・・

アト・ド・フリース「イメージ・シンボル事典」

rod　杖、笞

矯正邪悪、自由、男根、光、子孫　アロンの奇蹟の杖、支え、巡礼

staff　棒、杖

1．導きを表す　
司祭の先の曲がった杖、司教の杖、種々の聖人（例えばクリストフォロ）のエンブレム、キリストのエンブレム、棍棒と同じく王の武器

２．豊饒、復活、太陽を表す　
宇宙軸・男根　蛇と関りがある　医神アスクレピオスのエンブレム（病気を治すというより死から呼び戻す）　豊饒神としてのバッカスーディオニュソスと春の豊饒を表す美の三女神を案内するものとしてのヘルメス―メルクリウスの持ち物　愛人の持ち物　杖を突くと水がわき出すことのあるモーセの杖

３．魔法の杖を表し、ものを産み出す力がある

4．支えを示す
盲目、老齢などの象徴

5．巡礼、信仰を表す　
6．罰を表す

wand　杖

権威を表す；まっすぐな杖は命令（力による指導と調停）を表す　
王や妖精の持ち物　小さな金の杖があれば人類の王になれる（ニーベルゲンの歌）
魔法の杖を表す
道化師が持つと男根を表す
長さを測るものを表す
メルクリウスの持つ杖は眠りを招いたり妨げたりする
【民間伝承】「お守りの杖」はステッキのような形をしていて、細い縞模様のガラスか、小さな趣旨がたくさんついている小枝でつくられる　魔女や妖精にそなえて家の中につるしておく
caduceus,thyysus,club,rod,sceptre,staff,stick

クリスマスツリーに飾る縞々のステッキ型のキャンデーの意味がこの「お守りの杖」にあったということであるか・・