唐草図鑑
聖樹聖獣文様

聖獣: ヘルメスの杖の蛇


カドケウス


ホルバインの意匠によるカドケゥス
1523バーゼル美術館蔵
Hans Holbein the Younger
1497-1543 |

まず、 平凡社世界大百科事典を参照

杖 秋山さと子
カドゥケウスcaduceus(ラテン語)
聖なる力を伝える者が携える呪力を持った杖。

ギリシア語のカリュクスkarys(伝令の意)から派生した語と思われ、

王権の象徴である笏杖のように、所持者を守る力がある。

本来の形は先端から2本の小枝が伸びて本体に絡んでいる木の枝で、
水脈を探すための占い棒に近い形であったらしい
が、
後に2匹の蛇が棒をはいあがる形になった。
蛇は大地の力を現すものと考えられ、ギリシアの医神アスクレピオスは
大地の治癒力を伝える蛇の絡んだ杖を持っていた。
最もよく知られているカドゥケスは、ヘルメス神の持物で、
ヘルメスはこの杖を印として、冥界・地上界・天界を往復し、
神々の相互の意思や、特にゼウスの命令を伝える伝令の役割を果たした。

後にヘルメスがエジプトの神トートと習合して、
錬金術の神ヘルメス・トリスメギスとなると、
この杖は、天と地、太陽と月、男性と女性、硫黄と水銀などの対立物を統合して、
完全な金属である黄金を作る超越的な力の象徴ともなった。
矢印 「アスクレピオスの杖」 →モーゼの杖

me まず蛇の絡まる杖(カドケウス)を見ました
次いで、ヘルメスについての復習

ヘルメスHermes

 

平凡社世界大百科事典の記述



ギリシア神話オリュンポス十二神。
神々の使者を務めるほか、牧畜、商業、盗人、旅人などの守護神。
ローマ神話ではメルクリウスMercurius(英語でマーキュリーMercury)

ゼウスと巨人神アトラスの娘マイア(Maia)の子で
アルカディア地方のキュレネ山の洞穴で生まれた。

誕生早々ゆりかごを抜け出してアポロン[異母兄]の飼っていた牛の群れを盗み、
足跡を消すために牛に[逆に]サンダルを履かせて洞穴へと連れ戻った。
また、亀を見つけると、その甲羅に牛の腸の筋を張って竪琴を発明した。

翌日アポロンはゼウスに訴え、その命令でヘルメスは牛を返すことになったが、
竪琴を気に入ったアポロンはこれと交換に牛を与えた。

ついでヘルメスが笛を発明するとアポロンはこれもほしくなり、
牛追いの黄金の杖を与え上を入手した。

その後ゼウスは死者の霊魂を冥府へ導く役に任じた。
百眼の怪物アルゴスを退治
黄金のリンゴで、イダ山中のパリスのもとに三女神を案内
カリプソの嶋からオディッセウスを船出させる。
牧神パンと愛の神エロスの父
アフロティテとの間に両性具有の神ヘルマフロディトスをもうけた.

豊穣多産を祈って畑や牧場の境や路傍に立てられた
ヘルマイ[ヘルメス柱 道標]に由来する神
豊穣神からと冨と幸運の神に発展
道路、旅人の守護神

錬金術の始祖ヘルメス・トリスメギストス[3倍偉大なヘルメス]

ヘレニズム時代の混交宗教型の神
ヘルメス・トート
…中世の人文主義者たちは、イエス・キリストに先行する聖賢と考え、
ヘルメス思想とキリスト教の一致を信じていた。

ヘルメス文書(へるめすもんじょ)
Hermetica
前3世紀から後3世紀、
エジプトのナイル沿岸都市で執筆された匿名の文書類
導師が弟子に教えを伝習する形式、託宣
文化史上絶大な意義を持つ文書群

ヘルメス思想…ヘルメス・トリスメギストスを父祖とする秘教
ルネサンス時代
「コルプス・ヘルメティクス」(ヘルメス選集)
「アスクレピオス」のラテン語訳は影響を残した
グノーシス思想 柴田有

水銀のマーク

me 以下補遺であるが『神の文化史事典』でのヘルメスのキーワードは、
トリックスター、文化英雄、知恵、策略、媒介者、交通、冥界、盗み
・・であった

ヘルメスを主人公とした物語はなく、常に脇役であるが、巨人との戦いで隠れ帽をかぶって敵を倒し、怪物テュポン二件を切られて閉じ込められていたゼウスを救出するなどの活躍も見せている。
ヘラクレス、オデュッセウス、カリュプソらの前に神々の命を受けて現れたのも、ディオニュソスの旅の案内をしたのも、百の目を持つアルゴスを殺害したのも彼である

ヘルメスはギリシア先住民族の神であり、その崇拝はアルカディアを中心として、ギリシア各地に広まった。
図像では手に杖を持ち、足に有翼のサンダルを履いた旅人の姿をした若々しい美青年に描かれる

ローマではメルクリウスと同一視された。(『神の文化史事典』松村一夫・平藤喜久子・山田仁史編 白水社2013)

メルクリウス Mercurius

me ついでメルクリウスの方であるが、『神の文化史事典』でのキーワードは、
 交易、牧畜、雄弁、盗み、水星、水銀  
・・であった

「商品」を意味するラテン語merx あるいは、 「商業活動への従事」mercariとの関係が指摘される。
ローマの商業の神 交易(特に穀物交易)との結びつきが深い。
ギリシアのヘルメスと同一視され、人々や人々の言葉の交流を司る神、神々と人間の間の仲介者とされた
水銀(英語merdury)や水星(英語Mercury) はこの神の名に由来する(『神の文化史事典』)

me ヘルメスの持物のうち、帽子であるが、

WEB 検索

http://www.infosakyu.ne.jp/~sekkan/asklepios.htm

[この蛇はギリシア神話においてヘルメス神が
2匹の蛇の喧嘩を仲裁した事に由来するので、
蛇は2匹でなくてはならない。]

? 初見

http://www.infosakyu.ne.jp/~sekkan/asklepios.htm
 ヘルメスはヘルマと呼ばれる石柱の後裔
豊穣と多産とを祈る呪いの意味を持つ男根状の石造物
石柱は蛇とも関係が深い

大地から起立する石柱と
冬眠中の土の中から這い出してくる蛇とが結びつけられた結果だろうと言われている。


アポロンが作った杖
伝令杖「ケーリューケイオンKerykeion」で、
ヘルメスの杖と呼ばれるものです。
ラテン語では「カドゥケウス(カードゥーケウス)」と呼ばれる。
この杖は向き合う二匹の蛇がからみあい、
やがて螺旋を描いて向き合う蛇頭は、
杖の先端に付けられた ∝ 形の装飾となっています。

http://www.jiten.info/dic/caduceus.html


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(このページは 2004/11/19初UPしました)

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