キリスト教における杖ということだが、修道院では、「罰は積極的に受けねばならない」と自発的鞭打ちのため、叩くのに用いる細長い棒を持ち歩かなければならなかったということが書かれた本があった。キリストを模倣する確実な方法は同じ苦しみを経験するのが最善の方法である、ということで・・(『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』 (世界屈指のシェークスピア学者スティーヴン・グリーンブラッド Stephen Greenblatt の2012年ピュリッツアー賞受賞の初期ルネサンス文化論)
杖の役割は、現在は、普通は支えるものであろうし、また儀式の際の権威を表すものというイメージだが・・
口絵に「そこで、ピラトはイエスを捕らえ、鞭でうたせた」というシーンのミヒャエル・パッハーMichael Pacher ( c. 1435 – August 1498)の絵 があり、 聖書の文章は、虐待された救世主への同情や虐待者への怒りだけでなく、救世主の苦しみを模倣したいという熱烈な要求を促す・・という説明
"Michael Pacher - Flagellation - WGA16816" by Michael Pacher - Web Gallery of Art: Image Info about artwork.
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「ガラリヤの漁夫であったヤコブは、十二使徒のひとり・
杖をもち、マントと帽子を身につけた巡礼者として描かれる」と。
この本で記述にはないが、引用の ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの原画に基づく聖ヤコブ像にはホタテも描かれている。むしろホタテの方が象徴性が強いようだ。
「中世にさかのぼる一連の伝説には、スペイン布教の旅とコンボステラでの埋葬が語られる」
この本にはまた、「杖は、聖クリストフォロス、大天使ガブリエルなどにも用いられる」・・とあります。
"Carlo Crivelli 064" by Carlo Crivelli (circa 1435–circa 1495) - The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH.. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.
※聖ヤコブ像(Georges de La Tour,1593年 - 1652年)
(トゥルーズーロートレック美術館蔵 in the Musee Toulouse-Lautrec)
■Olga's Gallery
Christian Saints
St. James the Greater
■「コキーユ・サン・ジャック」は「聖ヤコブの貝」(ホタテ貝)
http://homepage3.nifty.com/st_peter/cln/index18.html
ホタテ貝の貝殻(食器の代用)を首からぶら下げ、つばの広い帽子をかぶり、大きな外套(がいとう)に巡礼杖
「杖には水を入れたひょうたんを提げる鉤(金具)が付いている」
イメージbyhttp://www.gocek.org:christian Symbols
"Hieronymus Bosch 085" by ヒエロニムス・ボス (1450年頃–1516) - collectie.boijmans.nl : Home : Info : Pic. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
Saint Christopher
by Hieronymus Bosch Museum Boijmans Van Beuningen(ロッテルダム)
クリストフォロス(原意はギリシア語:キリストを背負うもの)
"Gabriel from Vysotsky chin (14c, Tretyakov gallery)" by Unknoun, Byzantine - http://www.tretyakovgallery.ru/ru/collection/_show/image/_id/2589. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
14世紀末に描かれたビザンティンイコン:トレチャコフ美術館蔵(モスクワ)
ミカエル ビザンティン美術館(アテネ)
"Saint Gabriel and Michael archangels" by unknown, Serbian - 投稿者自身による作品; Photo by Szilas in the Greek Orthodox Church and Museum, Miskolc. Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"Simon Ushakov Archangel Mikhail and Devil" by Simon Ushakov - http://www.picture.art-catalog.ru/picture.php?id_picture=8771. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
木村三郎「名画を読み解くアトリビュート」に挙げられていた杖関係はこれだけであるが、
「イメージ・シンボル事典」では杖を表す語は3つあって、
巡礼・支えを表すのはrod.・・アロンの杖もこっち(Aalon`s Rod)
staffの方は、棒という意味もあって、種々の聖人例えば聖クリストフォロスのエンブレム
とある。また、蛇と関連があって例えばモーセの杖、と挙げられている。
3つ目は、wandで、権威を表し、王や妖精の持ち物である。小さな金の杖があれば人類の王になれる(byニーベルゲンの歌」
さて、
キリスト教と杖というと⇒青銅の蛇の杖、アロンの杖を見てみたが、
モーセの兄のアロンの杖はモーセの杖と同じものという ・・が?識別するという議論あり・・ en.Wikipedia⇒Aaron's Rod,, Staff of Mose
この杖で岩をうって、
引き連れているのどのかわいた連中のために泉を出す・・
しかし、「文句ばっかり言う連中を呪いながらやったため」、
「彼は約束の地に入ることをゆるされなかった」。
笹間良彦さんの「蛇物語―その神秘と伝説 」・・ モーセの杖とは蛇を催眠術で硬直させたのを杖にするという技のながれにある・・!?
⇒蛇の絡まるモーセの杖hebi_img2.html
"Weltchronik Fulda Aa88 104r detail" by 不明(匿名) (Meister 1)
- Hochschul- und Landesbibliothek Fulda. Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"Weltchronik Fulda Aa88 100r detail" by 不明(匿名) (Meister 1) - Hochschul- und Landesbibliothek Fulda.
Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"Musa with a cane in his hand" by 不明 calligrapher/miniaturist - www.sztuka.pl.
Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"The Psalter of the orthodox Church" by Freer Gallery of Art - http://www.asia.si.edu/collections/singleObject.cfm?ObjectNumber=F1937.13.
Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"Rylands Haggadah, The Healing of Moses’ Leprous Arm (above); The Return to Egypt, and Zipporah Circumcising her Son (below)" by 不明
- John Rylands Library. Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
"Hortus Deliciarum, Moses führt das Volk Israel durch das Rote Meer"
by Herrad von Landsberg - Hortus Deliciarum. Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
モーセが杖をもつのは必須でもないが、紅海のシーンでは必須!?・・この図のある12世紀の写本についてはこちら・・
・・
さて、その他の図像であるが、モーセに角がある図は⇒こちらに続く・・・
"Weltchronik Fulda Aa88 134r detail" by 不明(匿名) (Meister 2) - Hochschul- und Landesbibliothek Fulda.
Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.
目次(Wikipedia)
* 1 象徴的な使用
* 2 礼装的な使用
* 3 魔女、魔術的な使用
* 4 奇術師による使用 (ケーン)
* 5 仏教における杖
* 6 キリスト教における杖 * 7 武術としての杖
* 8 刑具としての杖
* 9 登山用の杖
* 10 その他の杖
* 11 その他