唐草図鑑

ギリシアの陶器

アッテッカの陶器  pottery

アッティカの陶器、まずは黒像式見ました.
ついで、赤像式を・・

赤像(せきぞう)式;赤絵

世界美術大辞典(小学館):ギリシア美術

前530年頃、アテナイで器面の地である黒を塗り残すことによって形像を表す「赤像式」と呼ばれる技法が発明される。
エピクテトスと「ブリュゴスの画家」の名を挙げることができる。彼らの描線は、表現力豊かな本質性にまで到達している。

世界美術大辞典(小学館):赤像式

red-figured 古代ギリシア陶器の装飾技法の一つ。

新潮世界美術辞典:赤像式

像の部分を赤く残し、その他の部分を黒くして、像の細部を筆描する方法で、黒像式と比べて、運筆の自由な技法は、陶画の表現力を飛躍的に豊かなものにし、性格や感情の表現をも可能にした。  

前520年ころにアッティカで始まり、前5世紀には数多くの傑作を生んだ。

※挙げられている図は、 エウフロニオスの赤像式クラテール
説明が短い・・

紀元前6世紀

エピクテトス

世界美術大辞典(小学館):エピクテトス

Epiktetos:(前525~前500年に活動) アッティカ陶器の赤像式の技法が発明されて間もないころに活躍し、時には黒像式の技法も用いた。
盃や皿の絵付けを得意とし、それらの器の内側の円形空間を巧みに生かしながら、すっきりとした人物像を配置している。
主題は神々の世界からパライストラ、饗宴に至るまで多岐にわたっており、簡潔で流れるような線の使いかたに際立った才能を示した。
多くの作品にほぼ同時代の陶画家オルトスとの類似点がみられるが、オルトスの方は厳密に技法的な問題により深く関与していたように思われる。
ロンドンの大英博物館所蔵の何点かのキュウリクスのうち「踊るマイナイデスと笛の吹奏者」を表した作品は彼の最高傑作に数えられている。

新潮世界美術辞典:エピクテトス

Epiktetos:古代ギリシアの陶工兼陶画家
前6世紀末に活躍。主にキュリクスに絵付けをし、初期のものでは、内側を黒像式、外側を赤像式と技法を使い分けている。
キュルクスの見込みの円形内を過不足なく満たす巧みな構図と流麗洒脱な線描に優れる。遺品は100余点。40器に署名がある。

Palaestra scene Louvre G7

オルトス

世界美術大辞典(小学館):オルトス

Oltos:(前6世紀)ギリシアの陶画家。
前6世紀の最古の四半期に活躍し、エピクテトスらともに赤像式のアッティカ陶器画の開拓者の一人に数えられる。特にキュリクスの絵付けを得意としたが、大型の器も手掛けた。最も有名な作品は、「ディオニュソスの行列」と「神々の集会」を表したキュリクス
タルクイーニア国立博物
https://www.beazley.ox.ac.uk/‥
https://sites.google.com/site/iconografiaclasica/home/5-hermanas-de-zeus/hestia-o-vesta

エウフロニオス

世界美術大辞典(小学館):エウフロニオス

Euphronicos (前 510-前470年頃活動):ギリシアの陶工、陶画家。アテナイで赤像式の陶画家として活躍し、後年は陶工として工房を主宰したと思われる。ミュンヘン国立古代収集所蔵の「若き騎士グロス」を描いたと推測されるキュリクスの内側の絵は、洗練された完璧な素描によって彼の傑作に数えられる。
大型のクラテルに好んで絵付けを行ったが、ぺリケやキュリクスなども手掛け、そのうちの何点かに署名を残した。
ルーブル美術館所蔵のクラテルに描かれたヘラクレスと巨人アンタイオスの戦いは、そのモニュメンタルな画面構成において、ぺデュメント彫刻にも劣らない迫力をもっている。
また律動感豊かに描かれた少年群像やパライストラ[体育練成所]の場面からは、古代の教育の精神の息吹を感じ取ることができる

新潮世界美術辞典:エウフロニオス

Euphronios:古代ギリシアの陶工兼陶画家
紀元前6世紀最後の10年頃活躍。
エウテューミデ―スとともに、 有機的な人体の表現に努め、着想の豊かさと観察の的確さではこの好敵手より優れていた。
赤像式初期の先駆的巨匠であった。
遺品約25点のうち10器に「作」銘、6器に「画」銘がある。
「へ―ラクレスとアンタイオス(Antaios)」のクラテール
近年世に出た「サルぺードーン(Sarpedon」のクラテル

https://en.wikipedia.org/wiki/Euphronios
https://www.museumlab.jp/exhibition/10/

Euphronios krater side A MET L.2006.10
ヒュプノスとタナトスに運ばれるサルペードーンSarpedon、
エウフロニオス作、メトロポリタン美術館所蔵

Sarpedon’s body carried by Hypnos and Thanatos (Sleep and Death), while Hermes watches. Side A of the so-called “Euphronios krater”, Attic red-figured calyx-krater signed by Euxitheos (potter) and Euphronios (painter), ca. 515 BC. H. 45.7 cm (18 in.); D. 55.1 cm (21 11/16 in.). Formerly in the Metropolitan Museum of Art, New York (L.2006.10);

エウテューミデス(Euthymides)

世界美術大辞典(小学館):エウテュミデス

Euthymides(前6世紀末に活動):おそらく彫刻家と思われるポリアス(Pollias)の息子。アッティカ陶器の赤像式初期の重要な陶画家で、ライバルのエウフロニオスやフリンティアスと同じく、大型の器(アンフォラ、ヒュドリア)に好んで絵付けを行った。簡潔な素描と性的な人物表現を特色とする、代表作の「テセウスにさらわれるコロネ」を表したアンフォラ(ミュンヘン国立古代収集)では事件の劇的性格が優雅な身ぶりのうちに和らげられている。

新潮世界美術辞典:エウテューミデス

遺品は約20点、7器に署名がある。 その作品の一つ、ミュンヘンの古代工芸美術館所蔵のアンフォラに「エウフロニオスもこれほどには[描けなかった]」と記し、その人体の新しい表現を誇った。

Hektor arming Staatliche Antikensammlungen 2307

Hector putting his armor on, surrounded by Priam and Hecuba. Side A of an Attic red-figure amphora, ca. 510 BC. From Vulci.

~ゴンブリッチの『美術の物語』(図49) ~
The warrior's leavetaking,c.510-500 BC Vace in thec'red-figured' style.signed by Euthymedex;height 60cm;Staatliche antikensammlunge und Glyptothek,Munich

ゴンブリッチの古典的名著とされる『美術の物語』(THE STORY OF ART 16th edition(en.Wikipedia)にはギリシアの壺は5つしか紹介されていないが、その中の一つがこれ。
若き戦士とその両側の両親。ゴンブリッチは、画家が青年の頭(プロファイル=横顔)を体(前向き)にフィットとさせるのに苦労しているという。そして、取り上げているのは左脚の描きの方の細かいデーテイル。ここに古いエジプトの安全な(safe)方法が破られたと。しかし、エジプトの芸術家からのレッツンが単に破棄されたのでもないことを実感すると。We also realize that the lessons of Egyptian art had not simply been discarded and thrown overboard.

フィンティアス(Phintias)

世界美術大辞典(小学館):フィンティアス

Phintias(前6世紀末) ギリシアの陶工、陶画家。アッティカ赤像式の代表的陶画家でエウフロニオスとエウテュミデスの同時代人。両巨匠の影響が強く、独自の境地を示す作品は少ない。
代表作のタルクィーニア国立博物館所蔵のアンフォラでは、 ディオニュソスと一群の互いに絡み合ったマイナセスとサチュロスが表され、裏民には聖鼎をめぐって争うアポロンとヘラクレスが描かれている。

紀元前5世紀

新潮世界美術辞典:ギリシア美術

前5世紀の前半、タソス島出身の画家、ポリュグノートスは、奥行きのある空間表現と、エートスの表現によって、ギリシア絵画に一大革新をもたらしたと伝えられる。この時代は陶器画の最高潮を迎えた時期でもあって、その繁栄を、ニオビダイの画家ペンテシレイアの画家の作品に見る事ができる。

新潮世界美術辞典:ブリュゴスの画家

ブリュゴスの画家

Brygos Painter:古代古代ギリシアの逸名の陶画家
前495-前470年頃にアッティカで活躍した赤像式初期(⇒厳格様式)の作家。陶工ブリュゴスの署名のある作品に絵付けをした画工で、約270の遺品中120以上がキュリクスである。
代表作に「イーリウー・ぺルシス」[the "iliupersis" or sack of Troyトロイア落城]を描いたキュリクスKylix(ルーブル美術館)
「ヘクトールの遺骸を乞うプリアモス王」を描いたスキュフォス(ウィーン、美術史美術館)
「クリューシッポスとゼウクソー」を描いたキュウリクス(大英博物館)
また「マイナス」を描いたたキュリクス(ミュンヘン、古代工芸美術館)は白地際病による陶器の初期の秀作。

Briseis Phoinix Louvre G152
Louvre G152 by Brygos Painter ca. 475: Scenes from the "Sack of Troy" .https://www.perseus.tufts.edu/hopper/artifact?name=Louvre%20G%20152&object=Vase
The Brygos Painter is an Attic red-figure vase-painter, mainly active in 480–470 BC. He his named after the potter Brygos with whom he worked; more than 200 vases are attributed to him.

新潮世界美術辞典:ニオビダイの画家

ニオビダイの画家

Niobidai Painter:古代ギリシアの逸名の画家
前475-前450年頃アテ―ナイで活躍した赤像式の陶画家。 ルーブル美術館にある「アポロ-ンとアルテミスに殺されるニオビダイ」を描いたクラ―テールからこの呼称がつけられた。このクラーテールに見られる地面に高低差をつけた配置法、4分の3の顔、前縮法などは同期の大ポリュグノートの大画面の壁画の影響と考えられる。

Krater Niobid Painter A Louvre G341

Heracles and the gathering of the Argonauts (or Heracles in Marathon?). Side A from an Attic red-figure calyx-krater, 460–450 BC. From Orvieto (Volsinii).

https://www.louvre.fr/en/oeuvre-notices/attic-red-figure-calyx-krater-known-niobid-krater
https://www.engramma.it/eOS/index.php?id_articolo=835#Niobe_in_lutto:_Eschilo_e_la_tradzione_figurata

新潮世界美術辞典:ペンテシレイアの画家

ペンテシレイアの画家

Penthesileia Painter:古代ギリシアの陶工兼陶画家
前475-前450年頃アテ―ナイで活躍した赤像式の陶画家。
「アキレウスとペンテシレイア(アマゾン族の女王)を描いたミュンヘンの古代工芸美術館蔵のキュリクス(前455頃)にその名は由来する。「約170の作品が彼に記される。簡潔、雄勁な筆致と緊密な構図で、特に悲壮な場面の劇的表現にすぐれている。

Akhilleus Penthesileia Staatliche Antikensammlungen 2688 n2

Achilles killing Penthesilea. Tondo of an Attic red-figure kylix, 470–460 BC. From Vulci.

~ゴンブリッチの『美術の物語』(図58) ~
Ulysses recognized by the old nurse,5th century BC Vase in the 'red-figured'style;height 20.ℂm Museo Archeologigico Nazionale,Chiusi

※Wikipediahttps://en.wikipedia.org/wiki/Eurycleia

ゴンブリッチはギリシアの芸術家は、人間間の語らざれざる(暗黙の)感情の表現方法をマスターしていたという。
(『美術の物語』(THE STORY OF ART 16th edition)p94)Greek artists had indeed mastered the means of conveying something of the unspoken feelings set up between peoples.

~ゴンブリッチの『美術の物語』(無番 p97) ~
各章に工房の様子を取り上げる趣向(good!)で、これは第3章の図
※(Greek sculptor's workshop,c.480 BC Scene on the underside of a bowl in the 'red-figured' styel;left:blonze foundry with sketches on the wall;right:man at work on a headless statue,the head lying on the ground;daiameter 30.5cm.Antikensammlung,Staathliche Museen Berlin

なぜか後の時代のほうが、「逸名」の画家という者が増えるような・・「ベルリンの画家」・・・

岩波美術館の歴史館第3室「美神の世界」前川誠郎解説

7.ボール投げを する青年たち 紀元前510年
このレリーフが「そのころの絵付け師として令名のあったエウテュミデスやエウフロニオスらの陶画との相似」という説明で、 エウフロニオス《うさぎと遊ぶ少年》(ロンドン 大英博物館)が挙げられている。

ベルリンの画家


岩波美術館の歴史館第3室「美神の世界」前川誠郎解説

11《アテナ女神》
ベルリンの画家

ペルシア戦争の時期、まさにそのころにギリシアの陶画が最も充実した作品を生みだしたのは、戦争で壁画などの大作の注文がなくなり、優れた画家たちもまた壺絵の絵付けへと手を出すようになったからではないかと考えられる。(前川誠郎解説)

「ベルリンの画家」とは、ベルリンにある高さ70㎝ほどの大きなアンフォラの胴の表裏にヘルメスとサチュロスとを描いた絵の様式に由来する画家の仮名で、この画家に帰せられる作品は300点近くも存在しますが、いずれも署名がないのでこのように呼ばれているのです。
彼はおそらく、紀元前6世紀末の陶画の巨匠エウテュミーデスの工房から出た人であろうと考えられ、したがってその活躍期はおよそ紀元前500~480年頃ということになります(前川誠郎解説)

裏面 《ヘラクレス》

Berlin Painter, Amphora, c.490BC

-Heracles and Athena, Little decoration. Athena is in her traditional clothes. Figures are in isloation- heracles has tight curls- small relief sculpture. Decoration on Athena Peplos

https://www.cram.com/flashcards/clas336-vases-5189834
※このサイトでは63のギリシアの陶器画が見ららる

 

「ベルリンの画家」の様な逸名の画家は、「署名をしなかった」というわけだが・・・次ページで 更に見ます・・
見ていると、「かロス名」という言葉もあります。
誰さんはカロス(美しい)、みたいな署名だそうだが・・それについても次ページに・・・


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