唐草図鑑
聖樹聖獣文様

生命の木 聖樹

ナツメヤシ


Tree of Life

(平凡社百科辞典 山形孝夫)
樹木は古くから信仰の対象となり、
いわゆる聖樹として崇拝されてきた。
そのうち、古代西アジアで発祥し、
樹木によって生命の源泉、人類の誕生を
象徴的に示す樹木崇拝の一表象を特に
生命の樹(木)と呼ぶことがある。
そこではは多くの樹の中でもとりわけ
ナツメヤシが古代人の崇拝の対象
となり、
乾燥地帯にあっても枯渇することのない
生命力の主題
となった。

棕櫚(ナツメヤシ)

棕櫚(ナツメヤシ)はまず
古代メソポタミアやエジプトで
聖樹であった

常緑で生命と繁栄の象徴


プロトアイオリス式柱頭
アルスラン・タシュの象牙(「シリア国立博物館」蔵 )


紀元前1千年紀
有翼グリフィンも 魅力的である
古代アラム (現シリア) の中心都市ダマスカス Damascus
アッシリア王がダマスカス王の家具飾りを
略奪し、持ち帰ったものという。
中央の聖樹のデザインは
ヤシの木から着想をえたもの

しだいに抽象化されて、
プロト・アイオリス式柱頭の
渦巻き型柱頭に展開
していく

アイオリス式柱頭・・・・
基本的にはイオニア式と変わらないのですが、
柱頭だけは独自の様式を持っています。
イオニア式の原形である渦巻き型の間に
パルメットを挿入した形
をしています。

(講談社 世界の博物館18 増田精一・杉村棟編 昭和54年刊)



アルスラン→モンゴル語では「獅子」
・・・・「ナルニア国物語」の創造主ライオンの名前は「アスラン」
WEB 検索
大英博物館のよりEGYPT的なものと比べるのも面白い。
グリフィン⇒スフィンクスへの変化がわかります。
Ivory plaque depicting a winged sphinx
Phoenician, 9th-8th century BC
Found at Fort Shalmaneser,
Nimrud (ancient Kalhu), northern Iraq

Austen Henry Layard (1817-94), archaeologist
その他大英博物館の次のページで
いろいろオリエントの文物を見られます。
大英博物館のCONPAS


タンムズ (Tammuz)・・・四季の神
⇒フェニキアの生育神(エジプトのイシュタルに対応)

生育神


https://www18.tok2.com/home/ventvert/mythology

植物を縛リ付ける行為
生育神の死=夏を意味するという

(?オシリスの苗床アドベントページ仮リンク)

(以下再掲)

  聖樹文様

(平凡社百科辞典 長田玲子)

「生命の樹」を典型とする聖樹は世界各地で
装飾文様として使われている。
イランではハオマと呼ばれたがこれは葡萄だとされる。
聖樹は多くは聖樹や女神を伴った形で
装飾文様に使われる。
すでに前3000年紀のスーサ出土の円筒印章には
動物を伴った樹木文様や
樹下に聖獣を配したものがある。
なお、ヨーロッパのキリスト教美術でも
生命の樹として葡萄がしばしば描かれ、
今も行われる枝の主日のオリーブやナツメヤシの祝福、
またクリスマスツリーも聖樹崇拝の名残といえる。

(文様辞典より) 古代ペルシア「聖なる樹」(ハオマ)
聖樹を中心に動物が左右対称に置かれる構成。
その木の下は聖地や楽園を意味
また聖樹は単独では生命の樹として
使われ、イスラム美術の文様で重要なモチィーフ

東方への伝播

樹下動物文 円文 左右対称形、といった
ササン朝の伝統様式は
イスラム世界にも取り入れられた

西方への伝播

聖樹の意匠は西洋でも盛んに用いられ
聖樹の下に動物が集うキリスト教の
楽園のイメージが形成された
詳しくは→樹下聖獣文 

世界樹木神話」 ジャック ブロス,‎ acques Brosse (原著),‎ 藤井 史郎 ,‎ 藤田 尊潮,‎ 善本 孝 (訳) 八坂書房; 新装版 2008/10刊

内容(「BOOK」データベースより)
この世界は一本の樹によって支えられていた―宇宙樹・聖樹・神木…樹木にまつわる神話・伝説を世界各地に訪ね歩き、膨大な知識の披瀝により樹木崇拝の神秘な世界を解き明かす。
内容(「MARC」データベースより)
神聖であると見なされた樹木、宇宙樹に対する崇拝が、ほとんどの宗教において存在する。ギリシア・ローマから南アメリカまで、世界各地の宇宙樹への崇拝を解明。植物学など膨大な知識にもとづき神々の世界に光をあてる。
※(Wikipedia)Jacques BrosseJ(1922 - 2008)Tree Mythology、Plon、1989; Payot-Rivages、1993、2001

樹木の文化史 知識・神話・象徴
フランシス・ケアリー (著),‎ 小川 昭子 (訳) –柊風舎 2015/12/16刊

内容(「BOOK」データベースより)
樹木は人間と、自然、神とを結びつけるものであった。世界最古の文学『ギルガメシュ叙事詩』には天を衝き抜くようなレバノン杉の森が神々の世界とされ、ウェルギリウスの『アエネーイス』の主人公も森の不思議な力に魅了され、南アジアの叙事詩『ラーマーヤナ』でも森が重要な空間となっている。大英博物館所蔵の樹木の標本帳や標本箱、スケッチ、水彩画、工芸品などを通して、われわれの歴史に樹木がいかに重要な意味を持ってきたのか、科学と芸術、旅行と交易、詩文と散文、神話や宗教など、裾野の広い文化史の一部として読み解く。
宇宙樹・神話・歴史記述―モスクワータルトゥ・グループ文化記号論集 (1983年) (岩波現代選書〈78〉) -
983/5 V.N.トポローフ (著),‎ V.V.イワーノフ (著),‎ 北岡 誠司 (翻訳)刊

生命の木 聖樹

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