平凡社世界大百科事典 水谷 智洋著
古代ギリシアの神。豊穣とブドウ酒の神とされ,その崇拝は集団的興奮のうちに恍惚 (こうこつ) 境に入る祭儀を伴った。彼にはまた小アジアのリュディア語に由来するバッコスBakchosの別名があり,ローマ神話ではこちらを採ってバックスBacchusと呼ぶ。 バッカスはその英語読み。 これは、先に見たカラヴァッジョのバッカス(16世紀末)で したが、//文金高島田的//違和感。
左手に持つ黒いものは何でしたか・・そう、着ている服の腰ひもですね
しかしまた、ルーベンスのバッカス(17世紀)というのもちょっといや…・
酔っぱらった太鼓腹の
おじさん・・足元の女性と双子もあやしい・・
2012-01-29 ようやく許せる図がありました
アンティオキアのモザイクです。
よかったよかった。(?)
⇒アンティオキアの文物(2~3世紀)
2~3世紀
ちなみに、アイスキュロスは、ディオニュソスに
「お前はどこから来た、女男(ギュンニュス)よ」と呼び掛けるという。(アイスキュロス、断片61 ディールス篇)
なぜ、ディオニュソスが「女男」と呼ばれたか、理由は明白である。
樹木信仰には始原的に両性具有(アンドロギュノス)の象徴性が存在するからであって、その記憶の痕跡がこの断簡に継承されているのである。
・・小苅米晛『葡萄と稲』p53-54(白水社1977)
念のため他の文献と画像を検索
J・キャンベルの「神話のイメージ」のディオニュソスのイメージを見るページへ、
そのほか、よく見かける16世紀以降は以下に続く・・
ティツィアーノ 16世紀
Titian, Bacchus and Ariadne, 1520-23, National Gallery, Londonhttps://metamedia.stanford.edu/philolog/
『聖書と神話の象徴図鑑』
岡田温司 監修 (2011)p61
の解説
ブドウの葉の冠つけたバッカスが、前にひざまずいている男に、同じくブドウの葉を編んだ冠を授けている「バッカスの勝利」の図。「労働者を日々の労働から解放するブドウ酒」・・ブドウの葉の冠をかぶり、酒樽に座っているバッカスが、人間にブドウ酒をつくることを教え、それを飲むことによって、人間を日々のつらい仕事から解放した。
ルーベンス 17世紀
Rubens
Bacchus, 1638-40
Hermitage, St. Petersburg
Bacchus - Pieter Paul Rubens - Hermitage Museum
203センチ
注文主の意向に沿って、
彫刻を古代風に見せるために切断されていたという
『聖書と神話の象徴図鑑』 (岡田温司 監修 ナツメ社 (2011/10/15)刊)では、
バッカス/ディオニュソスとしてはこの像が挙げられている。
ヘレニズム期以来、女性的な体つきをした像で表現されることも多いと あるが、
なるほど、私の気持ちの悪さの原因の一端がわかるのである。
杯を掲げ、酩酊状態のバッカス
バッカス:
女性的な丸みのある体つきは、両性具有的性格の表われ
ブドウの冠:
酒の神バッカスの象徴
サチュロス:
バッカスの従者 身をよじる姿が感応性を強調する
「バッカスの音楽と舞踏はアポロの芸術と対極をなす
祝祭に由来する騒々しいバッカスの音楽と舞踏は、格調高いアポロの芸術の対極にある」
『聖書と神話の象徴図鑑』で
ブドウの関係する図は4つ。
ここまで見てきたように、2つはバッカスであったが、
もう2つはキリスト教の方で、「ブドウは、救世主イエスの生命、または酒の神の象徴」ということであった
キリストの血はワインでしたか・・
バーバラ・ウォーカーによれば、
バッカスはキリストの原型だと言っている。
紀元前1世紀ころ、ディオニュソス崇拝の地はエルサレムであったと。ユダヤ人が豚肉を食べないのは、ディオニュソスが雄豚に殺されたからであると、プルタルコスがつけ加えているという。
・・その話は、ここまで(~_~;)・・
またエリアーデを読みながら別件で・・・・
ここでまた、百科事典の記述から
平凡社世界大百科事典 水谷 智洋著
彼の聖獣は牡牛,牡ヤギ,ヒョウなど, 『冷静と情熱』//論理的冷静と激情的陶酔//の対比という話ということでよいのかどうかだが・・。
リョウホウ、ゲイジュツノハナシだということはしっかり確認したい・・((笑)最近の映画のタイトルと別ということ)
→別ページへ ユング「タイプ論」
平凡社世界大百科事典 水谷 智洋著
神話では,彼はゼウスとテーバイ王カドモスの娘セメレSemelの子とされ,平凡社世界大百科事典 水谷 智洋著
いよいよ,人間にブドウの栽培を教えつつ,みずからの神性を認めさせてその祭儀を広める時が来た。
彼はまず小アジアを征服,ここで獲得したおもに女性からなる熱狂的な信者たち (バッカイBakchai〈バッコスの信女〉, マイナデスMainades〈狂乱の女〉などと呼ばれる),
またいつも彼につき従うサテュロスやシレノス などの山野の精を引き連れて,次はギリシアへと歩を進めた。
途中,トラキアでエドネス族の王リュクルゴスに迫害されたのを皮切りに,ギリシアの各地で妨害を受けたが,それらはいずれも彼の神威の前には空しい抵抗にすぎなかった。
エウリピデスの悲劇《バッコスの信女》(前 405 上演) は,彼が従兄ペンテウスPentheusの治めるテーバイに来たときのできごとを描いたもので,それによれば,王の母アガウエAgau^をも含むテーバイの女たちが狂乱の信者の仲間に加わって,松明やテュルソスthyrsos (蔦 (つた) を巻き,先端に松笠をつけた杖) を振りまわしつつ山野を乱舞し,陶酔の極に達するや,野獣を引き裂いてくらうなどの狂態を示すに及んだとき,彼の神性を認めようとしないペンテウスは,これを阻止せんとして,かえって母親たちにキタイロンの山中で八つ裂きにされたという。
このようにしてみずからの神性を世界中に認めさせたあと,彼は冥府から母セメレを連れ戻して彼女とともに天に昇り,オリュンポスの神々の仲間入りをしたとされる。
→テュルソスという杖
葡萄酒の神Dionysosデイオニュソスに付き従う信女マイナス
「赤い獣皮を着ている」→lion_kawa.html
※「鹿の皮」
紀元前5世紀
バッカイ(ディオニュソス=バッカス の信女たち)
*『バッコスの信女』( Bakchai, バッカイ、羅: Bacchae)は、古代ギリシアのエウリピデスによるギリシア悲劇の1つ。
平凡社世界大百科事典 水谷 智洋著
ディオニュソスは,陶酔宗教の主神とでも称すべきその中核部分を,
広くトラキア,マケドニア地方で集団的熱狂と興奮を伴う祭儀によって崇拝されていた豊穣神の伝来に,
またブドウ酒の神としての一面を,小アジアのフリュギア,リュディア地方で樹木や果樹の精霊としてあがめられていた神格の渡来に負って
成立した神である。
その崇拝は,神話が示唆するように,ある時期に,為政者の禁令をものともせず,おもに女性の間で熱狂的な支持を得て野火のようにギリシア中に広まったものと考えられる。
それはやがて,彼がデルフォイのアポロン神殿において,アポロンが神殿を留守にする冬の間を預かる神としてまつられるに至って,いくぶん鎮静された形で公的宗教の中に受け入れられた。
ジャック・ブロスによる、「ディオニュソスが 融合した明確に異なる神々」も参照→ 聖なる樹ブドウへ
これはかつての集団的狂乱と陶酔の祭儀とは別の,来世での幸福を願うもので,海を渡ったイタリアでも人気を保ちつづけた。有名なポンペイの〈秘儀荘〉の大壁画はそのようすを描いたものである。
秘儀の間
「ディオニュソスの秘儀」をテーマとした壁画、
高さ3M・長さ17Mのフリーズ(装飾帯)
彼はまたギリシア最古のブドウ栽培地のひとつと伝えられるアッティカ地方北西部の小村エレウテライにささやかな社を献じられていたが,この社が前 6 世紀の中ごろ,ペイシストラトスによってアテナイのアクロポリスの南東麓に遷座させられ,その祭礼たる大ディオニュシア祭に悲劇等の競演が行われたところから,のちに演劇の神ともされた。
※大ディオニュシア祭
ジャック・ブロスによる、「ゼウスの火からディオニュソスを守ったキヅタ」も参照→ 聖なる樹ブドウへ
ハンス・ビーダーマン(世界シンボル事典)
Wine ワインは知的な飲み物である、というが、ディオニュソスや旧約のノアを見る限りはそうは思えないのだった。ゲーテが奥方の為でもあるか、晩年日常的に大変な量を注文していたという話を読んだ覚えがある。『ゲーテさんこんばんは』(池内紀著、集英社2001、文庫2005)
葡萄酒の神 WEB検索
※以下の検索は古く(2008)、3つとも接続が危うくなっています(20200509)
バッカス…
https://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM/mainas.html
反ギリシア神話 マイナスたち
古代ギリシア語事始
https://aimotokiyotakaba.seesaa.net/article/112885630.html
「蛇の帯を締めたマイナスたちは
バッカスの杖の先端をむき出しにして,
大声を上げながら彼らに跳びかかっていきました。」
https://boumurou.world.coocan.jp/book/lucian/
ルキアノス・・
『本当の話 ルキアノス短編集』 呉茂一+山田潤二+高津春繁:訳 ちくま文庫(「世界文学大系 64 古代文学集」所収 筑摩書房1961)
「月への旅行譚を書いており、しばしば最古のSFの一つとして言及される」(by wikipedia)
『神々の対話 他6編』 呉茂一+山田潤二:訳 岩波文庫 1953 1989ルキアノス「ディオニュソス 序文」 Dionysos
作者で主人公のルキアノスは、
大西洋へ向けて出港した後、
ワインの流れる川や、
上の方が女性の上半身をしたぶどうの木のあるディオニュソスの島を経て、
竜巻に巻き込まれて月の世界に飛ぶと、これが太陽との戦争の真最中。
※ルキアノスLucian of Samosata, 120年乃至125年頃 - 180年以後)は、ギリシャ語で執筆したアッシリア人の風刺作家(wikipedia)
「日本ではルキアノスは従来周知されておらず、訳書は多くなかった。」
文庫古書でも結構高い。
『ルキアノス選集 (叢書アレクサンドリア図書館8)』 中務 哲郎 (監修), 内田 次信, 岡 道男 (翻訳)国文社 (1999/11)
テュルソス=酒神杖
(頭部に松かさをつけ、ときにつたやブドウの葉を巻きつけてある杖)
→ テュルソスという杖
ディオニュソス(とブドウの)図像 その2
J・キャンベルの「神話のイメージ」のディオニュソスのイメージを見る
もう少し、ニーチェ・ユングやギリシア悲劇「山羊の歌」追記、その他、ディオニュソス頁まとめへ。
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