別名:カミガヤツリ
大型の水草で,古代エジプトでこれを使って世界最古の紙が作られた。
太い根茎に沿って,高さ 2mにも達する茎が立ち並び,葉はすべて無葉身の比(さや) に退化して,茎の根元にある。
直径 40cmにもなる大型の花序には,細長い枝が無数に束のようにつき,その先に,薄茶色の小穂が少数個つく。
北アフリカや中部アフリカの沼や河畔に大群落をつくって生える。
古代エジプトではナイル川流域のパピルスの茎を採り,皮をはいで白い髄を細く裂き,その維管束を縦横に並べて重しをかけて乾燥し,さらにこすって滑らかにしたパピルス紙を作り,当時の地中海地方の唯一の筆写材料とした。
エジプトは,国の大部分が砂漠で木に乏しいため,パピルスの茎は紙作り以外に,繊維から布地を作ったり,また茎をたくさん束ねて,ちょうどチチカカ湖のトトラ・ボートのような小舟を作った。
パピルスは美しい姿をしているため,それに類似した形のシュロガヤツリC.alternifolius L.(カラカサガヤツリ), C.diffusus Vahl や,より小型のカヤツリグサ類のオオミズハナビC.pulcher Poir., ヒメカミガヤツリC.prolifer Lam.などは,園芸家のいわゆるシペラス類として,温室内の観賞植物になっている。第 2 次大戦後,沖縄に帰化したメリケンガヤツリC.evagrostis Vahl は熱帯アメリカ産のパピルスに似た大型カヤツリグサである。
平凡社百科事典 小山 鉄夫
パピルス ウェブ検索
■美しい花の咲く迫力写真が見られます… https://blog.livedoor.jp/aki22/archives/50338536.html
■これぞパピルス…だそう
https://www.rakuten.co.jp/gardensk/430279/430285/435652/
■https://thenile.exblog.jp/2698006/
紙の原料であるパピルスは英知の象徴であり,古代エジプトでは大気の神アメンの標章であった。これが茂るナイル下流地域では,ワニの危害を防ぐ力があると信じられ,イシスは殺された夫オシリスを探してナイル川にこぎ出たとき,パピルスの舟を使ったので,ワニに襲われなかったという。この信仰は聖書伝説にも持ちこまれ,幼いモーセがパピルスの籠に入れられて護られたという話 (《出エジプト記》2 : 3) にもなっている。なお,パピルスの形を模した石柱は〈パピルス柱〉と呼ばれ, エジプトの神殿にしばしば用いられている。また紙を意味する英語 paper,フランス語 papier などは,このパピルスに由来する。 ⇒紙
平凡社百科事典 荒俣 宏
パピルス―偉大なる発明、その製造から使用法まで
(大英博物館双書―古代エジプトを知る)
「最古の書写材料の原料、カミガヤツリ(パピルス)は古代エジプトでの最古の書写材料として有名です。茎の断面は三角形で、中身が白い繊維となっており、薄く切って重なり合わせていくと、文字を書くことができます。ナイル川流域に広く分布しています」という紹介。
日本での紙の原料の件であるが、
和紙は
コウゾ、
ミツマタ・・とならったが、昔、七夕の手習いでは梶の木の葉(クワ科コウゾ属)に文字を書いたという。
その木の皮から紙を作ったため、聖なる木として神社に植えられていたという。
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